中京医薬品・会長のブログ

山田正行
※旧・社長のブログ
思うままに No.289

   

※エッセー「思うままに」より 〜毎月更新〜

 

 明けましてお目出度うございます。今一度「健康づくり、幸福づくり、人づくり」を念頭においてワンチームでもって良き年にしましょう。

 

 あらゆる生物の中で唯一人間だけだ。衣服をまとい肩書きや装飾品を身につけるのは。他の生き物は生れたままの姿で一生を過ごす。余計なものは一切装わず裸一貫、知恵と能力と体力を使って勝負し生き抜いていく。

 

 装いは隠したり化けたりすることができる故に、ごまかしや、まやかしになり易い。真実の姿が見えにくくなる。人間も生れるときと、風呂に入るときは素裸になる。浴場ではどこの誰であろうが名札はなし、身分も地位も知る由はなし。ついているものは皆同じ。気分はゆったり何の気がねもいらない。

 

 言いたいことは肩書きや装飾に惑わされず正味で人生を勝負していくには、結局のところ人間力の高低が鍵をにぎるということだ。人間力とは何か。正真正銘まる裸の人間の魅力だ。全身から放たれるオーラのような何かが人を惹きつける。ただそこに居るだけで周りが和む。慈愛に溢れ人を安堵で包み込む。

 

 人間力はおいそれと容易につくものではない。メッキはすぐ剥がれる。温室育ちではとても無理なこと。風雪に耐えてこそ育まれる。様々な辛酸をなめ、悔しさをバネにし、刻苦をエネルギーに換え、健気に前へ前へと進む。そこから優しさや逞しさ、心配りや情愛が深まる。

 

 力は力でも人間力は諸々の能力とは同列ではない。次元が違う。言うなれば能力は枝葉で、人間力は地中でしっかり支える根だ。この人間力は古今東西どこにあろうとも人を魅了し尊敬の的になる。

 

 さてマラソンの金メダリスト高橋尚子選手を育て上げた名監督故小出氏が選手たちを前にしてよく口を酸っぱく説いた言葉がある。「マラソンは何の為にやるのか、厳しい練習は何の為に積むのか、辛いときはいつも初心にかえることの大切さや原点の重要さ」を折に触れて口にした。また「何をするにも物事には目的と目標があるのだ」と。

 

 「目的はひとつだ。マラソンという競技を通していかに人間力を高めていくかにある。メダリストになるのは目標であって目的ではない。諸々の目標達成はあくまでも目的を実現するための方法手段だ。勘違いをするな」と。

 

 我々も人づくりにおいては土俵は違うが目指すものは同じだ。日々目標達成に向けて挑み続ける中で目的とする人間力を高めていくことにある。その意味では正しく職場は皆が互いに切磋琢磨して自分を高めていく人間錬磨の道場だ。

カテゴリー:エッセー「思うままに」
思うままに No.288

   

※エッセー「思うままに」より 〜毎月更新〜

 

 約束破りの常習者は有り難くないウソつき呼ばわりのレッテルを貼られる。仏の顔も三度、しまいには誰からも相手にされなくなる。だから世の親御さんは子供にはそうなって欲しくはないと物心がつく幼少の頃、約束を守ることの大切さを躾ける。<指切りげんまんウソついたら針千本呑ます>のように友達との遊びの中で他愛のない約束を交わせながら社会性やルールの大切さを身に付ける。

 

 さて人は軽々に約束をするが、それを実行するか否かは人間関係を良好にする上では極めて大切な要因になる。反故すれば不信を招きいつかは思いもよらないしっぺ返しを受ける。不履行によって失う信頼を回復するには、その代償として約束を果すのに要する数倍のエネルギーと時間を費やすことになる。不履行は割が合わないのだ。約束の本質は道義にある。お互いに誓い、守ることを信じ合いその証として実行力で示す。人間関係をよりよく円滑に進めるためには約束は大きな意味をもつ。

 

 すべての約束事は実行なくして成り立たない。だから時々思う。誰とも約束事なしで日々を送れたらどんなに気が楽なことかと。果そうが果さまいが、責任は問われることはないし非難も批判も受けなくて済む。ところが世捨て人ならともかく、現実の社会はそうはいかない。人間社会はすべて約束事で成り立っているからだ。子供から大人まで私たちは日々何かにつけて一つや二つの約束事をして過ごす。暗黙の約束を含めて果していくことにより大事な大事な信頼と信用が築かれていく。

 

 また人を計るとき、約束はもっとも有効な物差しになる。その人の程度が如実に現われてこれほど分り易いものはない。この人はつき合っていい人なのか否かは、たとえ口約束でもいいから試しに交わしてみるといい。答えは直ぐ出る。

 

 そこで約束を守るにはどうすればいいのか。要は軽々に約束をしないことだ。安請け合いはどうにも危かしい。果せなかったら相手に迷惑が及ぶ。信頼も失う。それでも約束事を避けては通れないのが日常だ。その上で自分の意にそぐわない点があればノーではなく今度はこちらから相手に納得をしてもらえるべく代替案とその根拠を示すことだ。

 

 合意を得、いったん約束を交わしたら何があろうが死守しなければならない。言い訳は無用、見苦しい。果せなければ信頼、信用はもとより自分の立つ瀬を失くし、自尊心をも失う。約束のもつ恐さと重さがここにある。約束の別名は言行一致だ。言うことと為すことが違えれば度重なれば人は離れていく。

カテゴリー:エッセー「思うままに」
思うままに No.287

   

※エッセー「思うままに」より 〜毎月更新〜

 

 「話せば分る」と万能のように物事は解決できるとよく言われるところだが、実際には言うほど事は上手くは運ばない。必ずしも数を重ねればいいとも言えない。却ってこじれて泥沼化することもある。もっとも相手によりけりだが。

 

 国際間の紛争などで文化、歴史、宗教の異なる人たちとの話し合いはなおさらのことだ。これが万能ならば争い事は世の中から消える。いかに口を酸っぱく説いても、意を尽したつもりでも、馬耳東風、糠に釘で埒があかない。話す人の人柄や見識、相手からの信頼や常日頃のおつき合いやコミュニケーションの度合いによっても大きく左右される。

 

 それではどうしたらいいのか、「放っておく」ことだ。これお手上げでも諦めることでもない。時の効用を活かして機をうかがう。焦らず、急がず、性急にならないことだ。せいては事をし損じると言うではないか。間をおき風を入れる。いったん頭を空っぽにしてみる。時は移ろい、そのうちに状況が変わり、自分も相手も要らざる邪念も失せて、心境に変化が起きる。

 

 そうすることによって面白いものでこれまでいだいていた思い込みや溜まっていた執着の膿が出てスッキリする。相手のことよりも何よりも自分にとりつく雑念の断捨離は整理整頓ができて身も心も軽やかになる。新たにリセットができる。

 

 さて<人を見て法を説け>で十人十色、百人百様で人は一様ではない。それには人間観察力を養うことが大事だ。相手の性格や立場、生い立ちや育った環境、それらをよく勘案することだ。いかに双方をつなぎ信頼関係を紡いでいくかだ。言うこととやることが違ってはいけない。

 

 いったん約束したことは何があろうが死守する。そうしないと相手よりも先に自分を損うことを知るべし。不履行ほど人間関係を壊すものはない。社会はありとあらゆるところで無数の約束を果すことで成り立っている。

 

 話(わ)は和(わ)に通ずる。対話は無意識のうちに理解をしてもらえるよう相手の心を和ませようとする意図が働いている。話し上手より聞き上手、聞く力が大事だ。能弁か否かはさして問題ではない。言うを少なく、聞くを多くする。そのために神様は、口は一つ、耳は二つにして人間を創造した。また「話せば分る」より「示せば分る」のほうがよく伝わる。論より証拠、理屈を説くより行動で示す。これに優る説得力はない。

 

 <やって見せて・・・>のお手本になる率先垂範の力は相手もすんなりと得心する。人に頼る前に自分に頼る。自分次第で誰にも容易にできるのが率先垂範だ。

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