思うままに No.266

   

※エッセー「思うままに」より 〜毎月更新〜

 

 戌年につき、犬についてなるほどを紹介しておく。犬は嗅覚40%、聴覚30%、視覚10%、主にこの三つを用いて情報を認識する。嗅覚は人間の百万倍、好きなにおいは生ゴミ、汗など人間が不快に感じるようなにおいが大好きで、酢、唐辛子、タバコ、アルコール、香水などの人工的なにおいは苦手。聴覚は人間の4〜10倍で突然の大きな音や高音はストレスになる。視力は0.2〜0.3で色も青、黄、紫以外は黒、白、グレーといった色の濃淡しか判別できない。ピントを合わせるのが苦手なので、目の前30センチほどはぼんやりとする。ただ動体視力は非常に優れ、視野も250度。味覚は味よりもにおいで判断する。嗜好の順番は、におい→歯ざわり→温度→味で、味は甘味、塩味、酸味、苦味は感じるが旨味は感じとれない。

 

 はるか大昔より犬は人間にとって、もっとも古く、この上ないパートナーだ。正直者で決してウソをつかない。愛すべき家族の一員だ。

 

 ところでウソをつくには相当のエネルギーが要る。一つのウソをつき通すためには他に百のウソを工夫し、加工しなければならない。記憶には限界があるので、そのうちについたウソを忘れてつじつまが合わなくなる。四六時中バレはしないかと不安や恐れにおそわれ精神的な苦痛はきつい。またバレた日には取り返しのつかない事態に陥る。

 

 ウソは苦だが、正直は楽だ。つまらないこと、ろくでもないことに心が振り廻されなくて済む。そして何よりも大事なことは信用信頼を得られる。正直は正直でもバカ正直となれば正直の極み。これに優る賢い生き方はないのではないかと思う。

こんな話がある。

 

 営業マンであったA君が売上代金30万円ほど横領し解雇された。ウソを隠すために伝票を改ざんする。ちょっとした出来心からはじまり、回を重ねるたびにことの善悪の判断がまひし、エスカレートしていく。と同時に見つかりはしないかとビクビク、ピリピリ。重ねるウソの報告でいつか上司や事務方に問いただされるのではないか、お客さまから何か聞かされるのではないか、妻や子になんと言い訳したらいいのかと、あれこれが心中を巡る。後悔先に立たずで何故にこんな愚かなことをしてしまったのかと。

 

 その結果、周りの人たちや家族に迷惑をかけ軽蔑と屈辱を受けることになる。この愚行によって誰よりも心の痛手を負ったのはA君自身だ。自業自得と言えばそれまでだが、A君はこの先相当のハンディーを背負うことになる。ことと次第によってはウソが高じて犯罪に至る。これ何とも割には合わない。

 

 我々の大の友達である犬には正直さにおいて人間は到底かなわない。ウソをつかない健気で忠実なお犬さまに今一度学び改めて敬意を表したい。

カテゴリー:エッセー「思うままに」
思うままに No.265

   

※エッセー「思うままに」より 〜毎月更新〜

 

 明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。

 

 初詣での心得を宮司さんから聞いた。「本来は神様にお願いするものではなく、いまこうして、神前で手を合わせることができることに有り難く感謝することです。他に力を頼むものではなく、自助努力をして運を開いていくことを神様に誓うことです。神頼みではなく、あくまでも自分頼みなのです」と。

 

 <1年の計は元旦にあり> 気分を新たにして、目標を具体的に設定して共に頑張っていきましょう。皆で力を合わせていい年にしましょう。

 

 こんな実験がある。高さ2メートルのバーを簡単にクリアする走り高跳びの選手に、今度はバーを設置せずに跳ばせてみたらどうなるか。何度ともなくトライをするが、とうとう一度たりとも2メートルの高さを跳ぶことができなかったのだ。このことはどんなに優れた能力を有していても、人間は具体的な目標をもたないとそれを十分に発揮することができないということだ。目標をもつということは能力を高め伸ばしてくれる力を得ることである。この力を得て使わない手はない。使えば使うほどに眠れる他の能力も連動してよみがえる。

 

 さて様々な不祥事や悔みごとの原因を考えてみるに、その共通点はすべて自己中心、身勝手な思いから起る。ひと呼吸を入れて心の余裕をもてば、ちょっと待てよと自分の良心に問いかけていたなら、目先や部分ではなく全体や大局を考えていたなら。もう少し相手のことを思いやれば防げたであろうことが多々あるように思う。そんなことをつらつらと思っている矢先にひろさちやさんのいい話に出会った。

 

 その昔、ある村に盲目のお坊さんがいました。ある時檀家に行きその家の主人と話がはずみ気がついたら夜になっていました。お坊さんは「それではこれで」と帰り支度をすると主人は「夜道は暗いのでこの提灯をお持ちください」と言って提灯を差し出しました。それを聞いたお坊さんは「なにをおっしゃるのですか、私の目の見えないことはご存じでしょう、提灯は必要ありません」と。

 

 「いえいえお坊さん、目の不自由なことは先刻承知しております。でもこの提灯をもっておれば、夜道ですれ違う相手が、お坊さんにぶつかることがなくなります」と主人。「これは大変心ないことを申し上げました。仏に仕える身でありながら誠に恥かしい限りです。どうかご容赦ください」と。

 

 お坊さんは自分のことしか考えていなかったこと、せっかくのお心配りに応えられなかったことに詫びながら有り難く提灯を受け取り夜道を帰りました。

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思うままに No.264

   

※エッセー「思うままに」より 〜毎月更新〜

 

 またしても起したかと車による悪質なひき逃げ事件があとをたたない。その度に腹わたが煮えくり返る。

 

 不用意にもやってしまったことは何とも取り返しがつかないが喘ぎ苦しむ怪我人を置き去りにして逃げ去る行為が事故から非道な事件にかえる。「怖かったから、飲酒をしていたから、無免許だったから、頭が真白になったから」等と残忍な犯罪者たちは身勝手な口を揃えて言う。どんな御託を並べようとも、いかなる理由があろうともその卑劣極まる行為は断じて許されるものではない。できるものなら地獄へでも突き落したい思いにかられる。

 

 これらの犯罪者は法の裁きを受け刑期を務めることになるが、犯した罪の重さから一生その痛苦と後悔の念は消え去ることはなくついてまわる。加えて自分のみにとどまらず、家族や周りの人をも巻き添えにして迷惑をかけ負い目を負わせることになる。誰しも好んで事故を起す人はいないが起したあとの人としてなすべき行動が何よりも問われているのだ。車は時には凶器にかわる。その凶器を狂気をもってすれば何と空恐ろしいことになるか。

 

 もし不幸にも事故を起し、人を殺傷してしまったら、そのとき人としてやるべき対応がきちっとできるよう平素より心の備えをしておかなければならない。他人事ではなく、自分にもあり得ることなのだ。

 

 おどろき、あわてふためいて非道にも逃げ去る凶行は絶対にあってはいけない。何よりも生命第一を念頭になすべきことは先ず救助救命を専一にすることだ。この心構えを普段より肝に銘じておくことで、もしものときにためらうことなく実行に移せる。車の事故に限らないが、先々何が起るのか分らないのが人生、いかなる時も冷静に判断するには日頃の心構えが人も自分をも救う。

 

 さて、私たちには有り難くも継続してご愛顧を頂くお客様を始め大切な仲間、商品、情報、お金が関わりながらついてまわる。もし何かが起きた時、過ちのないよう、信頼を損わないようその都度自分の良心に是か非かをきいてみることだ。

 

 人間、独り善がりになると決って心にスキが生れる、その時ここぞとばかり悪魔のウィルスが容赦せず入り込んでくる。魔がさすとはこのことだ。そもそも人間は弱いものだ。それ故に易きに流されて間違いを起す。だからこそそうならないようその侵入を阻止する心の防護壁をつくっておくことだ。

 

 犯罪は軽重を問わず、これをおかすということは、自分のみならず周りの多くの人を傷つけ迷惑をかけるのだ。重々承知し肝に刻んでおこう。

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